旅行会社社員の夏休み~東欧編~

 

■首都ワルシャワ 旧市街へ

 今回の旅行は東欧4ヶ国を9日間で回るタイトなスケジュールでした。そのため1ヶ国の滞在時間は最短で4時間と短いものでしたが、それぞれの共通点や異なる点を知ることができた旅でした。
 まず、スタートはポーランドです。今年東欧では初となる日本との直行便、LOTポーランド航空が就航したことでも話題となりました。
 首都ワルシャワは思いの外近代的な都市で、中央駅前の高層ビルが建ち並ぶ姿は、さながら東京を思い起こさせます。中央駅から文化宮殿を横目に20分ほど歩くと、世界遺産に指定されている旧市街に到着します。ピ ンクや水色といったカラフルな建物が多く、とても美しい街並みですが、ここは戦争で一度破壊されており、戦後建て直され世界遺産になった過去をもちます。以前訪れた欧州のいくつかの街も、戦後古い街並みを再現したケースが多く、純粋に昔からの街並みが残るところも案外少ないのかもしれません。

■世界遺産 ヴィェリチカ岩塩鉱

 ワルシャワからクラクフへは3年前に開通した高速鉄道を利用しました。現在では同区間が2時間半と大幅に短縮され便利になりました。クラクフも世界遺産に登録された街ですが、こちらは古都といった雰囲気で、観光客も大変多くさながら京都といったところでしょうか。馬車が闊歩し、広場には多数の屋台が並び大変賑やかです。クラクフの郊外には更に二つの世界遺産があり、そのうちのひとつ、ヴィエリチカ岩塩鉱に行って来ました。
 階段をひたすら地下へ下り、ガイドの案内で各ポイントを説明されます。メインの礼拝堂は全て塩とは思えない美しさですがここまでの行程がかなり長く、3時間近く連れ回されるので、元気なうちに行かれることをオススメします。
 この後、一路スロバキアへ向かいます。

■聖アルジュベタ協会

 夜行バスでクラクフを出て、スロバキアの首都ブラティスラバのバスターミナルへ早朝5:00に到着。外は真っ暗、人影もまばらですが、ブダペスト行きのバスが出る9:00までにどうしても見たい教会がありました。その名は聖アルジュベタ教会。ハンガリーの建築家、レヒネル・エデンの傑作です。
 アールヌーボー建築で、全体的に青色の珍しい教会です。朝だったこともあり、ミサ中の内部にも入ることができました!内装も青を基調とした仕上がりで大変綺麗でした。ここを見るためだけの寄り道だったので、このあとは一路ブダペストへ。

 

■二度目のブダペスト

 ブダペストは二度目だったので、前回行けなかった所を中心に回りました。ブダペストはドナウ川を挟んでブダ地区とペスト地区に分けられますが、王宮などのあるブダ地区では前回工事中だったマチャーシュー教会を見学。色鮮やかなジョルナイ瓦が美しく光ります。漁夫の砦から対岸を見ると前回は工事中で覆いがかかっていた国会議事堂が見事にドナウ川に映えます。
 また、どうしても食べたかった名物のフォアグラも実食してきました。日本だと万単位するような肉厚のソテーが1500円程度で食べられ大満足でした。

■ルーマニア オラデアへ

 翌日、小さな地下鉄に乗って世界遺産の英雄広場から、時間がなく入れなかったセーチェニ温泉を横目に、ヴァイダフニャド城を駆け足で見学し、次の国ルーマニアへ。今回の旅では一番滞在時間が長い国でしたが、色々な意味でこれまでのヨーロッパとは大きく異なる国でした。
 ルーマニアへは8人乗りのミニバスでの国境越えでした。 顔ぶれは地元の人ばかりで、旅行者は私たちだけの様子。
 ヨー ロッパの主要国はシェンゲン協定で基本出入国はフリーですが、ルーマニアはこの協定に加盟していないため一手間かかります。国境ゲートで全員分のパスポートを係員に渡し待つこと数十分。後からくる車にも抜かれ、日本人である私が乗っていることが理由と思われ少し心苦しかったです。
 そんなこんなで無事国境を越え、予定より数時間遅れでルーマニアのオラデアに到着! この日泊まったアストリアホテルは大好きなアールヌーボー建築です。オラデアはハンガリー領だった期間が長かったため、今でも人口の3割ほどはマジャール(ハンガリー)人で、19世紀末ころに建てられた多くのアールヌーボー建築が残ります。
 まだ修復作業中の建物も多いですが、統一広場を囲む建築群は秀逸です。当時の活気あふれるオラデアの様子が偲ばれます。
 また市庁舎にある時計塔からは、オラデア市内を一望できオススメです。オラデアは観光地っぽさは薄いですが、それがかえって魅力的な街でした。

■ペレシュ城

 オラデアの建築散歩を楽しんだ後は寝台列車でシナイアへ。 シナイアは避暑地として人気の町で、冬季はスノーリゾートとしても賑わいます。この小さな町には「ルーマニアで最も美しい城」として名高いペレシュ城があります。この城を建てた初代ルーマニア国王カロル1世は、昨年行ったドイツのジグマリンゲン城の城主であったホーエンツォレルン家の出身で、展示内容なども共通するものがあったりしてより楽しむことができました。
 

■中世の街並み ブラショフ

 午後からはトランシルバニア地方の中核都市、ブラショフへ。ここはドイツからの入植者によって築かれた町で、町並みもどことなくドイツの雰囲気が感じられます。また、この町はドラキュラ伝説で有名なブラン城へのゲートシティにもなっています。あいにく、ペレシュ城でのんびりしすぎた結果このブラン城内部へは入ることができず、土産物屋街でドラキュラグッズを買うのみとなりました。
 

■第二の都市 ヤシ

 ルーマニア最後に訪れたのは、ヤシ。かつてのモルダヴィア公国の首都だった街で、ルーマニア第二の都市です。ブラショフからヤシまでの移動は今回の旅行で一番骨が折れました。と言うのも、鉄道だと10時間以上かかる上、空路の選択肢も無く、バスで移動したのですが バスとは名ばかりの12名乗りの乗合タクシーのようなものでした。しかも3分の2はいろは坂のような山道で、かつ定員超過の乗客がいたので、5時間かけヤシに着いたころには疲労困憊でした。
 首都ブカレストには行かずヤシに針路を取ったのは、この街にある文化宮殿を見たかったからでした。実は随分前から行きたいと思っていましたが、長い間改修工事が行われており、なかなかタイミングが合いませんでした。それがやっと今年3月に周辺整備も終わり美しい姿を取り戻したのが、今年東欧を訪れるきっかけにもなったのでした。その周辺整備の際に、この文化宮殿の隣に大型ショッピングモールができたのですが、想像以上に近代的で、品揃えも含め日本と大差ないものでした。ホテルにも近く、ヤシがルーマニア最後の街だったので、土産のまとめ買いに大変便利でした。

■最後に

  ルーマニアは国土がヨーロッパの中でも大きいほうですが、インフラがあまり整っているとは言えず、高速鉄道もないので、移動時間が重要になります。今回、飛行機、バス、鉄道と利用しましたが、バスに関しては郊外で馬車が日常的に使われることもあり、時間には余裕が必要と実感しました。また治安面では、ロマと呼ばれる貧民層が物乞いをしている光景を定期的に見ましたが、幸いガイドブックやネットで言われいるほど危険な場面に遭遇することはありませんでした。
 今回訪れた各国は、近隣の強国とともに時に支配し、時に支配され、様々な文化的影響を受けた過去があり、それが独特の各国文化を形成していますが、変わらない アイデンティティを失わず生きているということが実感できました。東欧とひとくくりにされがちですが、ルーマニアに関しては地方によってもまるで別の国と感じるような差もありました。
 西欧の洗練されたヨーロッパの旅では味わえない楽しさを与えてくれる、ルーマニア。おすすめです。